2009年12月31日木曜日

ペルー旅行のこと(7・マチュピチュツアーほか)完

押さえられない好奇心。

ただそれだけが、自分をここまで来させてしまったのだ。
真っ暗な山道、ツアー参加者は一緒だが、
誰という連れもなく、白く息を吐きながら、
前に進む。

日本の裏側の、険しくて高い場所、
両側が切りたった崖の、その上に載っている。
数百人が住んでいた町の、廃墟があるというところ。

そこを見るために、
遠くからひとりでやってきて、
頼る人もないこの場所で、
朝3時45分から起きて、山道を歩いている。

とまあ、そんなわけで、
9月30日のペルー旅行その6の続き。
締めくくります。

朝の日が昇る頃には、ゲートに着いて
開門を待つ。

足を踏み入れても、はっと驚くような美しさではない。
雲がゆっくりその中を走っていくから、
霧の中、少しずつ少しずつ姿を現していく。

時間通りに着いていたのに、
場所がわかりにくくてしばらく登山道を歩いていて、
ガイドのフレディーとの
待ち合わせにちょっと遅れてしまった。
ガイドが途中からになって残念。


標高2400m、
青い空に近い場所でどんな風に
暮らしていたんだろう。
その全ては、発見されるまで、
本当はずっと眠っていたのだ。

どんな時代の、どんな人たちも同じで、
病や苦しみや憎しみ、戦いをどうやって避けて、
死の恐怖ではなく、幸せを追求していたはずだ。

集会の場所や、宗教儀式がされていたであろう場所、
そんなところを歩きながら、
ずっと昔の誰かの涙が、自分に落ちてくる気がした。

自然と調和し、受け入れることが
何もできないときの最終手段としての祈り、
そうして生きていく人間、
何もなくて弱くて、でもまだなんとか、
頑張れると思った。

自分の場所で、自分のタスクのために。

マチュピチュに住むガイド・フレディーは、
本当に優しくしてくれた。
分かりやすい英語で、ていねいに説明してくれたし、
いつも近くにくっついて、
マチュピチュ以外の話もたくさんした。

もう二度と会わないんだな…
そう思ってぐっと淋しくなった。
親しくなったって、
もう一緒に遊べるわけでもない。

それが旅行で出会うことなのだ。

本当は、毎日出会う人だって、
明日会えるか分からない。
でも私たちは優しく錯覚して生きていく。
家族も友人も周りの人も、
明日も明後日も一年後も
無事にここにいるのだと。

心の中がぽっかりした気持ちで、
一緒に写真も撮らなかったことを後悔してる。

メルアドも聞かなかった。
何度かやりとりをして消滅していく感じが、
もっと淋しいからだ。

さよなら、フレディー。
「お互いの場所で、精一杯生活して、楽しんで生きていこうね!!」
そう心の中で、呼びかけて吹っ切った。

午後にマチュピチュ市街に戻って、
お土産など見てから、
ぐったりして列車、バスでクスコに帰り着く。

そのままクスコで1泊して、
飛行機でリマに戻って、空港からそのまま、
高速バス乗り場に行って、
ナスカに向かう。

※ナスカからあとの記録は、
8月21、22日のブログに続く。

マチュピチュをあとにしてからの
旅は、フレディーのことばかり考えていた。

淋しいけれど、
人を好きになるのってなんて
素晴らしいんだろう…そう強く思う。

あと何回、そんな風に心を揺さぶられる
体験ができるだろうか。

人生は、貪欲な人にとっては本当に短い。

0 件のコメント: