大学を出て新卒として、
教育系出版社に入社した。
入社式や研修の頃、
「すべての価値観を捨ててまっさらな状態で、
仕事を覚えていってほしい」と、
誰か偉い人が言ったことを覚えている。
クリエイティブ系の仕事ではあったが、
今の何倍もとんがっていた私は、
顧客の顔を浮かべて、その対象に伝わる広告や、
告知ビラを作ることにうまく納得できず、
キャッチコピーやタイトルを何度も直されていた。
売り上げの事ばかり重視する企業の体質に、
反抗的な気持ちが先走って、
でも、やりたいようにやった仕事ではうまく成果も上がらず、
何度も何度も、
今までの価値観ががらがら崩れていったと思う。
(自分の価値観をわざわざ捨てようとしなくても、
考え方を変えざるを得ない事態は何度もやってきた)
そこから、いろいろなことを学んで、
自分の信じたものを、
人に納得させる術ももっとうまくなった。
それでも、新しいスーツを着て、
悔しくて時には涙を流して仕事に向き合った、
卒業したての青くてピュアで
やけに反抗的なのに、理論は脆弱な自分が、
今でも好きだ。
そこからスタートしたことを、
常に忘れたくないと思う。
あの頃の自分に恥ずかしくない仕事が、
暮らしが、今、できているだろうか。
0 件のコメント:
コメントを投稿